14.世界遺産ハロン湾とぼったくり

2023.3.31

ハノイで迎える初めての朝、ホテル周辺でやっている現地の方向けのお店で朝食を取る事にした。
入ろうと思ったお店で声をかけると、お店とお店の間の露店に声をかけてしまったようだった。たまたまだが、逆にそれがより現地っぽくて良いと思った。

看板にはBUN NGANと書いてあった。タケノコを薄切りしたものが乗せてある鶏肉が入った麺のようだった。旨い。私はこういうお店を求めていたのだ。1杯40k VND(約230円)。

今日は世界遺産ハロン湾をボートで巡るツアーの予定だ。また懲りずに英語のツアーだ。ホテル近くまでバスの送迎に来てもらう予定だ。バス乗り場でスペインから1人で来た男性と話した。彼もまたこのツアーに申し込んでいた。日本が好きでとても美しくて良い国だと褒めてもらった。
日本に来たという人に話しかけられる事が何回かあったが、みんな綺麗で良い国だと褒めてくれる。にも関わらず、私はスペインの事についてはアルハンブラ宮殿とサグラダファミリアしか知らず、これしかスペインの話題は出せなかった。英会話だけでなく、世界の歴史や文化についても何も知らなかったのだと改めて感じる。

バスは真珠工場での見学ツアー・休憩を挟み、ハロン湾へ着いた。ハロン湾からは客船に乗り換えて、ハロン湾を眺めながら昼食をいただく内容だった。

船の中から眺めていた景色とは違い、昼食を取ってから甲板に出ると、壮大な風景が広がっていた。外の景色を眺めて流れる船に身を任せた。ベトナムについて勉強する前の私は、ベトナムと言えばこのハロン湾の風景だった。ようやくこの光景を見る事が出来た。さらに嬉しいことに、ビールを片手にこの美しい風景を堪能することができた。

船は洞窟に着いた。鍾乳洞がある大きな洞窟だった。沖縄などの島国でもあるようだが私は初めての経験だった。ドラクエのダンジョンを進んでいくような感覚に身を包まれた。どこまであるのか、行き止まりなのか、上に下に迷路のようだった。また、ディズニーランドのアトラクションを並ぶ通路のようにも思えた。

その後、カヌーに乗ったり島に行ったりして過ごした。ベトナムでのツアーは3つ行った事になるが、これが最後となった。最後にふさわしい満足度だった。

バスは20:00頃、ハノイに着いた。
遅い時間となったが、私たちはナイトマーケットに向かった。ナイトマーケットでは服やお土産などのお店がたくさん並んでいた。串焼きやアイスなどを食べ歩きした。

ふと、ドーナツ屋の女性が近づいてきて、玉のドーナツを勧めてきた。値段を聞くと、50k VND(約280円)と言われたので買ってみる事にした。袋に入れてもらっていざ買おうと言う時、150と言いなおした。私は100kを取り出し50kのお釣りを要求した。

私はまた同じ失敗をやらかしてしまった。

ドーナツ女は私の手からさっと100kを奪った。お金を相手に見せるように出してはいけないのだ。
返せと言っても返してくれない。あと50k払えと言ってくる。

私は悔しくなり、
「返してー!」
「どろぼうー!」
「助けてくださいー!」
「ヘルプミー!」と大きな声で叫んだ。

私の方が恥ずかしいはずだが、もはややけくそだった。
妻も子供も何言いだしてるんだコイツ!と、驚いた表情で私の方を見ている。

恥ずかしかったのか、ドーナツ女の顔がみるみる赤くなった。女はOKチップと言って20kを返してきた。私がもっと返せと言っても女はどうしても返さなかった。50kにはならなかったが、私はここで少し恥ずかしくなってきて諦めた。

物価が安いので財布をゆるめて楽しみたいが、油断するとすぐぼったくられる。
私はこの女の顔を絶対忘れないぞと誓うのだった。

つづく