02.カオスな幻想郷とブンボーフエ

2023.3.25

カニ屋からタクシーアプリGrabでホーチミン中心部へと戻ってきて、人民委員会庁舎にあるホーチミン像と写真を撮り、子供に棉あめを買ってあげたりしてお茶を濁しながらホテルに歩いて帰ってきた。

ホテルは繁華街の近くにした為、21時頃になると爆音が響き渡る。妻と子は毎日21時くらいには寝ているのと、日中のフライトで疲れたのか、大した物も食べずに眠ってしまった。

私はと言うと、初日の夜で興奮と空腹を抑えきれず、また、爆音の正体を確認する名目で外へ出る事にした。

地球の歩き方にはベトナム最大のバックパッカーエリアと紹介されていたブイヴィエン通りがこの音源だった。夜になると車が侵入出来ないバリケードが張られ、旅人とお店の営業で賑わっていた。路上に小さなプラスチック椅子が並び、そこに座りダンサーやバンドの演奏をビールを飲みながら眺めている。サイバーパンクのような世界に私は憧れていた。正にここがその幻想郷だった。

一杯ここで飲んでみたかったが、一人だったので小心者の私は目立つところに座るのが恥ずかしい気持ちになってしまい、ホテルの近くの牛肉麺ブンボーフエの専門店に入って夜食を取る事にした。

小さいサイズのブンボーフエとビア・サイゴンを注文した。やはりビールは氷が入ったジョッキでやってきた。それにサラダがやってきた。無料の前菜だろうか?先ずはダイレクトに行ってみた。ちょっと硬くて食べた事がないサラダだった。味がしないので、テーブルにあった調味料はニョクマムだろうか?これをぶっかけて食べる事にした。何かが違うと思ったところ、店員がやってきて私が食べかけたサラダを下げて、新しい盛り付けのサラダとブンボーフエを持ってきた。

どうやら前の人の残りサラダを私は食べていたようだった。どんな人だったかによるが、過ぎた事はあまり想像しないようにした。また、周りを見回してみると、このサラダは麺の上に好きな量を乗せるタイプのようだった。ほう。

気を取り直してちょっとだけ野菜を乗せて食べてみた。牛肉がチャーシューのように柔らかいものもあったり、ハムみたいなものもあったり、スペアリブタイプのものもあった。特にこのスペアリブがおでんに入っている牛筋に似た味でとても美味しく感じた。最後に1個だけ残しておいてそれでフィニッシュを迎えようとしていたが、日頃の行いが悪いせいか、スペアリブを手で掴んだ衝撃でツルっとなって落としてしまった。

フィニッシュを決められなかったのは残念だったが、専門店に入ったのが正解で良かった。値段はビールと合わせて110k VND(約600円)。観光客向けのお店・価格だったとは言え安い。ビールは銘柄にもよるが、こういったお店では1本 25k-30k VND(約150円)が相場のようだ。ちなみにコンビニを軽く見た感じでは1本 12k VND(約70円)程度だった。

ビールが安いから常にビールを飲んでしまう。それが私のホーチミンの始まりだったのだ。

つづく